転職体験記|ケース14|人材紹介からHR Techのカスタマーサクセスへ。30歳で選んだキャリアチェンジ

コーリング株式会社の佐々木陽一です。人材ビジネス、HR Tech、Ed Tech、人事コンサルティング領域を中心に、転職支援や採用支援に携わっています。今回は、ある方の転職活動について、実際のお話を伺いました。
なお、このシリーズでは、
必ずしも当社が採用決定までご支援した方のみを取り上げているわけではありません。
実際に転職を経験された方や、
転職活動の途中にいらっしゃる方など、ご本人の了承を得たうえで、実体験を共有しています。
すぐに答えが出る話ではないかもしれませんが、
転職を考え続けている方にとって、
ご自身の状況を整理するための一つの材料になれば幸いです。
プロフィール(匿名)
・転職者:Nさん
・転職当時:30歳
・転職前:人材紹介会社/コンサルタント
・転職後:HR Tech・プラットフォーマー/カスタマーサクセス
――転職を意識し始めたきっかけを教えてください。
きっかけはチームの異動でした。
それまで「この人の下で働きたい」と思っていた上司のもとを離れたことで、仕事への向き合い方や、自分の軸に変化が生まれました。
もともと業界・職種を変えて人材紹介会社に転職しており、自分のこれまでの経験を活かしながら、キャリアの“掛け算”を意識して働いてきました。
ただ、人材紹介会社では担当する業界ごとにチームが分かれることも多く、今回の異動によって、自分のこれまでの経験の活かし方が変わってしまった感覚がありました。
それが、「自分はこの先、何をやっていきたいのか」を改めて考えるきっかけになりました。
ちょうどその頃、雇用や労働市場の変化を感じる機会も多く、IT・デジタル領域は今後も伸びていくと実感していました。
また、そのタイミングで「カスタマーサクセス」に関する書籍に触れる機会があり、この分野に強い興味を持つようになりました。
――当時、転職活動はどのように進めていましたか?
業界でも大手と呼ばれる人材紹介会社に登録しました。
自分自身も人材紹介会社に勤めていましたが、他社に登録することへの抵抗は特にありませんでした。
むしろ、自分で動かないと情報は得られないと思い、積極的に動いていました。
ただ、実際に活動を始めてみると、当初期待していたものとは少し違っていました。
求人の量は多いのですが、それ以上の価値を感じられない場面も多く、自分の中で人材紹介会社への期待値を切り替えることにしました。
それこそ、自分自身が人材紹介コンサルタントとしてやっていたように、
「何件応募して、何件書類通過したのか」「どのような求人で通過しやすいのか」といった観点で、自分の転職活動を捉えるようになりました。
人材紹介会社に期待するのはあくまで案件情報。
傾向と対策は自分で考える、というスタンスに変えました。
HR Tech領域のカスタマーサクセス職に進む意思は明確だったため、
そこに向けて自分で行動量やKPIを設定し、都度振り返りながら進めていきました。
――最終的に、どのように意思決定をされたのでしょうか?
これまでも自分は、キャリアを“掛け算”で考えてきました。
どの会社にいたか、どの職種だったか、という点ではなく、どのような経験を積み、何ができるようになり、どんな価値を提供できるか。
その積み重ねが次のキャリアにつながると考えています。
そのため、今回の軸は明確でした。
・IT業界、特にHR Tech領域
・カスタマーサクセス職
これを前提に企業を見ていました。
加えて重視したのが、「仲間意識」です。
前職の人材紹介は、チームで動いているようでいて、実態は個人単位での成果が中心でした。
いわゆる“個人商店モデル”に近い働き方に、どこか違和感がありました。
一方で、カスタマーサクセスは、顧客の成功に向けてマーケティング、セールス、プロダクトなどと連携しながら進めていく仕事です。
自分の強みも、既存顧客との関係性を深めながら価値提供していくスタイルにありました。
「人を振り向かせるより、振り向いていただいた人に、もっと振り向いてもらう」
その意味でも、インサイドセールスなどではなく、カスタマーサクセスの方が自分に合っていると感じました。
最終的に入社を決めた会社は、成長フェーズにある組織で、ワンフロアの中で各部門が密に連携している環境でした。
選考の中でかけていただいた
「私たちと一緒にもがきませんか?」
という言葉も、意思決定の後押しになりました。
――いま振り返って、当時のご自身をどう見ていますか?
転職して、もちろん満足しています。
本当に、何一つ後悔はしていません。
既存営業、人材紹介コンサルタントと経験してきた中で、今回の転職はその延長線ではなく、自分のキャリアを広げる選択でした。
結果として、自分が考えていた「掛け算」が形になり、やりたかったことがすべて実現できている感覚があります。
自分で考え、行動し、意思決定したからこそ、納得感も満足感も大きいのだと思います。
――近しい境遇の方へ、何か伝えるとしたら?
人材ビジネス、特に人材紹介にいる方で、HR Techやプラットフォームに興味がある方には、ぜひ一度考えてみてほしいです。
能力の幅は、めちゃくちゃ広がると思います。
人材紹介は、自分で完結する仕事の側面が強いと思います。
一方でカスタマーサクセスは、顧客の成功に向けて、社内外の関係者を巻き込みながら進めていく仕事です。
場合によっては数千万円規模の契約やプロジェクトを扱い、KPI・KGIを設計し、導入から活用、定着までを伴走していきます。
自分一人で成果を出すというよりも、顧客と一緒に成果をつくっていく。
そのプロセスの中で、人材ビジネスで培ったスキルや経験が総合的に活かされる場面が多いと感じています。
人材の総合力を高めていきたい方にとっては、非常に面白い領域だと思います。
編集後記
今回のケースは、人材紹介コンサルタントからHR Techのカスタマーサクセスへキャリアチェンジされた事例でした。
印象的だったのは、転職活動の進め方そのものを、自身で設計し直していた点です。
人材紹介会社に登録しながらも、
「何件応募し、どの程度通過しているのか」
「どのような傾向で結果が出ているのか」
といった視点で、自身の活動を客観的に捉えていました。
そのうえで、エージェントには案件情報を求め、傾向や対策は自分で考える。
役割を切り分けたスタンスに変えていた点は、とても示唆的です。
また、キャリアの考え方としても、「どの会社にいるか」ではなく、
「どのような経験を掛け合わせていくか」という軸で一貫して判断されていました。
人材紹介とカスタマーサクセスでは、求められる役割は異なります。
一方で、顧客と向き合い、成果を出すという本質は共通しています。
実際に、人材紹介で培った経験が、別のフィールドでどのように活かされるのか。
その広がりを、ご本人の言葉からも強く感じる内容でした。
今回のお話は、自分の強みや志向をどのフィールドで活かすのか、
そして転職活動そのものをどう主体的に進めるのかを考えるうえで、参考になる内容だったのではないでしょうか。
― コーリング株式会社 佐々木陽一
人材ビジネス、HR Tech、Ed Tech、人事コンサルティング領域を中心に、転職支援や採用支援に携わる。人材紹介会社で約18年間コンサルタント・マネジメント業務に従事した後、事業会社で中途採用・タレントアクイジションを担当。現在は、人材紹介事業に加え、人材ビジネス向けコンサルティング・アドバイザリー、採用支援(RPO)を行う。
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