転職体験記|ケース08|求職者起点で働き続けたい|大手人材紹介会社プレイングマネージャーが選んだ次のキャリア

コーリング株式会社 代表取締役 佐々木です。
今回は、ある方の転職活動について、実体験を伺いました。
なお、このシリーズでは、
必ずしも当社が採用決定までご支援した方のみを取り上げているわけではありません。
実際に転職を経験された方や、
転職活動の途中にいらっしゃる方など、ご本人の了承を得たうえで、実体験を共有しています。
すぐに答えが出る話ではないかもしれませんが、
転職を考え続けている方にとって、
ご自身の状況を整理するための一つの材料になれば幸いです。
プロフィール(匿名)
・転職者:Fさん
・転職当時:34歳
・転職前:大手人材紹介会社 プレイングマネージャー
・転職後:コンサルタント
――転職を意識し始めたきっかけを教えてください。
担当する業界や職種の専門化が進み、支援できる領域がより細かく分かれていく流れを感じていました。
法人のお客様から求人依頼をいただいても、求職者から転職相談を受けても、
自分が関われる範囲が限定されてしまうことに歯がゆさを感じる場面が増えていきました。
社内で求人や求職者をパスすることもありましたが、その後の支援は担当メンバーの経験や力量にも左右されます。
決して自分が優れていたとは思っていませんが、「自分ならこうしたい」と感じながら見守ることもあり、
お客様や求職者が埋もれてしまうことへのもどかしさがありました。
そうした中で、自分は特に求職者の期待に応えたい気持ちが強いのだと改めて感じるようになりました。
また、ちょうど家族のライフイベント、子どもの成長といったタイミングも重なり、
自分の働き方やキャリアを見直すきっかけにもなりました。
――違和感が決定的になった出来事はありましたか?
プレイングマネージャーとして数字をつくりながらメンバーをリードする立場にいましたが、
次のキャリアは本格的な管理職になります。
そうなったとき、チームの業績管理やマネジメント業務の比率がさらに高くなります。
本当にそれをやりたいのかと自分に問いかけたとき、強く「そうだ」と言える自分ではありませんでした。
では、このままコンサルタントとして業務に専念するのかと考えても、支援領域の専門化が進む中で、
それも自分の目指す方向とは少し違うと感じていました。
両面型の体制も、どちらかというと法人顧客への比重が高まっている印象がありました。
そうなると、「この領域の求人を紹介することが中心になってしまうのではないか」という思いが強くなりました。
もちろん実際にはそれだけではありませんが、自分としては、もっと求職者との接点を持ちたいという気持ちがありました。
――「両面型エージェント」といっても、企業と求職者への比重は異なりますよね。
法人営業が嫌いだったわけではありません。
人材紹介業に入る前は別業界で営業をしていました。離職率も高く、働く環境も決して楽ではありませんでした。
だからこそ、「働き方は大事だ」と実感した経験があります。
そうした背景があったからこそ、人材紹介業に入ってからは個人の転職相談にしっかり向き合いたいという思いがありました。
企業側の採用を考えても、応募者の満足度を高めることは非常に重要だと思っています。
単に会社情報を説明するだけではなく、求職者が何を期待しているのか、
どんなキャリアを望んでいるのかを理解したうえで求人を紹介することが、本来の支援だと感じています。
「この会社に入りたいならこうしましょう」という会話ではなく、
「あなたはどうしたいのか」という対話から始めたい。
そのうえで企業にも提案していく。
振り返ると、自分は登録者起点で仕事をしたいタイプだったのだと思います。
――当時、転職活動はどのように進めていましたか?
まずは情報収集から始めました。エージェントや転職サイトも利用しています。
転職先としては、人材紹介業の他に、人事職、とくに採用担当も検討しました。
ただ、人事職については早い段階で選択肢から外れました。
業界によっては転居を伴う転勤の可能性もあり、家族のことを考えると避けたいと感じたためです。
また、これまで経験してきた人材紹介業を続けたほうが、自分自身のやりがいにもつながると考え、
人材紹介業でキャリアを継続することを決めました。
具体的な転職のきっかけはスカウトでした。
自分もスカウトを送る側でしたが、とても丁寧に書かれている内容を受け取り、
「この人に会って話をしてみたい」と率直に思ったことを覚えています。
――最終的に、どのように意思決定をされたのでしょうか?
応募したのは一社のみでした。
企業選びの軸は大きく二つです。
ひとつは働き方に一定の自由度があることでした。
フル出社を前提としない環境であることも含め、自分の生活とのバランスを保ちながら長く働けるかを重視していました。
もうひとつは、代表を含めて一緒に働く人たちとの考え方が合うことです
そのため、知名度や会社規模はあまり重視していませんでした。
カジュアル面談や面接を通じて何度も会話を重ね、人材紹介業の良いところも難しいところも率直に話しました。
求職者の転職や人生を預かる仕事であることを、社長を含めて皆さんが本気で理解していると感じたことが印象的でした。
人材紹介会社によっては、成約金額や成約件数といった成果に目が向きやすい場面もありますが、
この会社は連絡が途絶えてしまうといった業界の課題や、求職者の不満足にも真剣に向き合おうとしている姿勢があり、
強く共感しました。
「この会社なら楽しく働けそうだ」と思えたことが大きかったです。
また、法人顧客との仕事を通じて採用手段の多様化を感じていたこともあり、
人材紹介事業以外の事業・サービスも社内にある環境で、採用コンサルタントとして支援の幅を広げられる点も決め手になりました。
――いま振り返って、当時のご自身をどう見ていますか?
前職を退職し、現職に転職したことは良い決断だったと思っています。
モヤモヤしていた部分が解消され、いまは仕事に集中できています。
現職には未経験者だけでなく、人材紹介経験者も多く入社しています。
さまざまなバックグラウンドを持つメンバーと「エージェントってこうだよね」と率直に話せることや、
チームで動ける環境はとても心地よいです。
一方で、前職は業界内でも大手企業でした。既存顧客も多く、新規開拓の機会は限られていました。
いまはまだそのステージではないため、新規営業にも取り組んでいます。
負荷もありますが、「営業をしていなかったな」「誰かが開拓してくれた環境で仕事をしていたんだな」と反省することもあります。
その分、いまは成長実感があります。
――近しい境遇の方へ、何か伝えるとしたら?
この業界には分業型、両面型、そして同じ両面型でも企業起点や求職者起点など、さまざまなスタイルがあります。
だからこそ、自分が顧客とどう関わりたいのか、どんな支援をしたいのかという思いが大切なのではないでしょうか。
大手企業から成長途上の企業へ転職しましたが、視野は大きく広がりました。
まだ余白が多く、ルールも整いきっていない環境だからこそ、自分から提案できることがあります。
言ったことが実現する可能性もあり、答えが決まっていないからこそ試せることも多いです。
振り返ると、以前は実行する役割が中心で、組織の一部として動いていた感覚もありました。
中堅や立ち上げフェーズの人材紹介会社には、また違ったやりがいや面白さがあると思います。
自分に合った環境を選ぶことも、ひとつのキャリアの形ではないでしょうか。
編集後記
今回のケースで印象的だったのは、「誰を起点に仕事をしたいのか」という問いに向き合っていた点でした。
人材紹介業界では支援の形も多様化しています。
両面型といっても、企業起点なのか、求職者起点なのかによって体制や考え方は少しずつ異なります。
そのなかで、自分がどの顧客とどう関わりたいのかを考え続けた結果としての転職だったように感じました。
環境を変えたことで、新規開拓や新しい挑戦にも向き合うことになり、決して楽な選択ではなかったはずです。
それでも成長実感を語られていた姿が印象に残っています。
同じ業界にいる方にとっても、自分の仕事との向き合い方を見つめ直すきっかけになれば嬉しく思います。
― コーリング株式会社 佐々木陽一
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