転職体験記|ケース06|「自分が抜けたら回らない」という責任感から前に進んだ転職

コーリング株式会社 代表取締役 佐々木です。
今回は、ある方の転職活動について、実体験を伺いました。
なお、このシリーズでは、
必ずしも当社が採用決定までご支援した方のみを取り上げているわけではありません。
実際に転職を経験された方や、
転職活動の途中にいらっしゃる方など、ご本人の了承を得たうえで、実体験を共有しています。
すぐに答えが出る話ではないかもしれませんが、
転職を考え続けている方にとって、
ご自身の状況を整理するための一つの材料になれば幸いです。
プロフィール(匿名)
・転職者:Fさん
・転職当時:40歳
・転職前: 大手人材紹介会社/マネージャー
・転職後:総合人材サービスグループに属する人材紹介会社/シニアコンサルタント
――転職を意識し始めたきっかけを教えてください。
振り返ると、組織が大きな過渡期にありました。
営業方針の見直しが何度も行われ、管理職の異動や退職も相次ぎました。
一方で、未経験者の採用と入社は続いており、気づけば自分の配下メンバーは急激に増えていました。
もともと入退社のある環境ではありましたが、その時期は特に「入れ替わりの激しさ」を強く感じていました。
組織全体が疲弊し、以前のような競争優位性も失われつつある。
そんな空気感の中で、違和感が少しずつ大きくなっていきました。
――違和感が決定的になった出来事はありましたか?
最終的には、マネージャーは自分ひとり、という状況になりました。
プレイヤーとしての予算を持ち、メンバーマネジメントの責任も負う。
未経験者の育成や配置、新入社員への引き継ぎ、ミスやクレーム対応。
さらに、管理職としての社内ミーティングや、経営層の決定事項を組織に伝え、実行する役割も担っていました。
もともと、人材紹介という仕事を通じて、顧客とは経営や採用について、求職者とはキャリアについて向き合いたいと思い、中途入社しています。
しかし、実際にはプレイングに割ける余力はほとんどなく、顧客と向き合う機会も、新入社員のフォローやトラブル対応といった本意ではない場面が増えていました。
入社時に思い描いていた仕事とのズレを、強く感じ始めていました。
――当時、転職活動はどのように進めていましたか?
現職があまりにも忙しく、実際に進めたのは、今の会社と、もう1社だけでした。
転職を強く決めていたわけではなかったため、現在の状況を理解してくれているエージェントの配慮で、まずはカジュアル面談から始めてもらいました。
――最終的に、どのように意思決定をされたのでしょうか?
並行して進めていた会社からも、最終面接の案内をいただきました。
評価制度や、想定される予算・目標金額についても確認しましたが、現職の年収を維持するためには、相応に高いハードルを越える必要があると感じました。
業界内でのポジションや考え方には共感していましたが、報酬面を含め、現実的ではないと判断しました。
もう一方の会社からは内定をいただき、最終的にそちらを承諾しました。
決断までには、正直かなり悩みました。
自分が退職したら、この組織はどうなるのだろうか。
マネージャーが自分しかいない状況で、責任を放り出すことになるのではないか。
その悩みは、エージェントにも正直に伝え、何度も対話を重ねました。
その中で、ふと考えたことがあります。
もし、自分が怪我や病気で突然休むことになったら、会社はどうなるのだろうか。
おそらく、自分がいなくても、組織は形を変えながら回っていく。
そう考えたとき、自分を犠牲にしてまで、このキャリアの機会を手放す必要はないと感じました。
状況を理解したうえで、入社日の調整までしてくれた会社とのご縁を、大切にしたいと思いました。
――いま振り返って、当時のご自身をどう見ていますか?
当時の自分には、「よく転職を決断した」と声をかけたいですね。
結果として、基本給は上がりました。
働き方も、出社中心からリモート併用やフレックスを活用できる環境になり、服装も自由になりました。
以前は、毎朝早く出社し、帰宅は23時頃という日々が続いていました。
今回は、マネージャーではなく、コンサルタントとして入社しましたが、その選択にも満足しています。
以前は、自分が採用していないメンバーや、他の面接官が採用したメンバーを、管理職としてまとめる立場でした。
現在は、自分の裁量でメンバーを採用し、戦略を立て、顧客ともプレイングを通じて向き合えています。
私自身も、家族も、この転職をして良かったと感じています。
――近しい境遇の方へ、何か伝えるとしたら?
私は、大手人材紹介会社から、中堅規模の人材紹介会社へ転職しました。
同じように大手企業に所属している方へ伝えたいのは、「今の働き方がすべてではない」ということです。
中堅企業は、大手ほど福利厚生が整っていないかもしれません。
ただ、仕事の進め方や働き方、労働時間やワークライフバランスには、より大きな自由度があります。
もっと楽しく、もっと有意義な選択肢も、きっとあると思います。
編集後記
人材紹介の現場では、「任せられる人」に仕事が集中し、その人だけが疲弊していく状況が起こりがちです。
今回のお話は、責任感の強さゆえに抱え込みすぎた経験と、そこから一歩引いて環境を選び直した過程だと感じました。
組織のために働くことと、自分の人生を大切にすることは、決して相反するものではありません。
そう気づかせてくれる、一つの転職体験だと思います。
― コーリング株式会社 佐々木陽一
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