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転職体験記|ケース15|内勤営業からRPOリクルーターへ。33歳で踏み出した未経験人事への挑戦

コーリング株式会社の佐々木陽一です。人材ビジネス、HR Tech、Ed Tech、人事コンサルティング領域を中心に、転職支援や採用支援に携わっています。今回は、ある方の転職活動について、実際のお話を伺いました。

なお、このシリーズでは、
必ずしも当社が採用決定までご支援した方のみを取り上げているわけではありません。

実際に転職を経験された方や、
転職活動の途中にいらっしゃる方など、ご本人の了承を得たうえで、実体験を共有しています。

すぐに答えが出る話ではないかもしれませんが、
転職を考え続けている方にとって、
ご自身の状況を整理するための一つの材料になれば幸いです。

プロフィール(匿名)

・転職者:Nさん
・転職当時:33歳
・転職前:内勤営業
・転職後:RPOリクルーター(業務委託)

――転職を意識し始めたきっかけを教えてください。

もともと人事領域に興味がありました。

特に労務や組織運営、人事制度といったテーマには関心があり、営業として働きながらも、「いつか人事の仕事に携わってみたい」という気持ちを持っていました。

一方で、当時勤めていた会社では、上司との関係や働き方に対して、次第に違和感を持つようになっていました。

評価制度やインセンティブ制度、働き方などを通じて、「会社や組織の仕組みが人に与える影響」を考える機会が多くありました。

また、業務がかなり属人化しており、自分が休むと仕事が止まってしまうような環境でもありました。
引き継ぎも難しく、休みづらい雰囲気があったことも印象に残っています。

そうした経験から、人や組織を支える人事の仕事への興味がより強くなっていきました。

――転職を意識し始めたきっかけを教えてください。

決定的だったのは、上司とのやり取りです。

忙しい状況が続いていた中で、相談をした際に、
「お前が忙しいことなんか知るか」
と言われたことがありました。

もちろん、その一言だけが理由ではありません。
ただ、そのやり取りを見ていた周囲の反応も含めて、「この組織は今後大きく変わることはないだろうな」と感じました。

それまでも人事領域への関心はありましたが、この出来事をきっかけに、
「どうせ環境を変えるなら、自分が本当にやってみたいことに挑戦したい」
という気持ちが強くなりました。

――当時、転職活動はどのように進めていましたか?

人事領域に興味はあったものの、私は未経験でした。
そのため、「本当に人事へキャリアチェンジできるのだろうか」という不安はありました。

転職活動ではエージェントも利用していましたが、そんな時に友人からある案件を紹介されました。

人事の仕事で、未経験からでも挑戦できる案件でした。
ただ、一つ驚いたことがあります。
正社員募集ではなく、業務委託だったことです。

それまでずっと正社員として働いてきたため、業務委託という働き方に対するイメージがまったくありませんでした。

正直、かなり驚きました。

実は、その友人自身も個人事業主として働いていました。
そこで、確定申告や収入面、働き方などについて色々と話を聞きました。

その後は転職活動というよりも、
「もし自分が個人事業主として働いたらどうなるのか」
を調べる時間が増えていきました。

収入面は現職以上になる可能性がありました。
経費という考え方も知りましたし、在宅勤務や働く場所の自由度も高まります。
また、人間関係や働き方という面でも、当時の職場環境からは大きく変わる可能性がありました。

一つひとつ整理していくうちに、最初は不安しかなかった業務委託という働き方に対して、徐々に前向きな気持ちになっていきました。

――最終的に、どのように意思決定をされたのでしょうか?

友人だけでなく、家族にも相談しました。

ただ、最終的に働くのは自分自身です。
そう考えたとき、この案件をきっかけに、新しいキャリアと働き方に挑戦してみたいと思いました。

その後、選考を経てご縁をいただくことができました。

経験から人事職へ挑戦するという意味では、当時の年齢や経験を考えると、多くの選択肢があったわけではありません。

だからこそ、この機会はとても嬉しかったですね。

また、「中途採用の母集団形成から面接調整、条件提示まで、採用プロセス全体に関われる経験は今後の財産になると思います」と話していただいたことも印象に残っています。

確かにその通りだと思い、背中を押されました。

――いま振り返って、当時のご自身をどう見ていますか?

正社員から業務委託に変わることについては、正直かなり不安でした。

福利厚生もありませんし、会社という看板もありません。
組織に守られる立場ではなくなることへの怖さはありました。

ただ、振り返ると、本当に人に恵まれたと思っています。
これは前職との大きな違いです。

業務委託という立場でありながら、正社員と同じように裁量を持って仕事を任せてもらっています。
また、一緒に働く方々や関係会社の皆さんも、人として尊敬できる方ばかりです。

働く環境によって、こんなにも感じ方が変わるのかと実感しています。

――近しい境遇の方へ、何か伝えるとしたら?

私がお伝えしたいのは、
「まずは踏み出してみること」
です。

もちろん、何も考えずに行動することを勧めたいわけではありません。
メリットとデメリット、リスクとリターンを整理したうえで、それでも今の環境に違和感があるのであれば、一歩踏み出してみる価値はあると思います。

私は未経験からRPOの世界に入り、個人事業主として新しいキャリアをスタートしました。

今後も業務委託として経験を積むのか、あるいは将来的に事業会社人事としてキャリアを築くのかは、まだ分かりません。

ただ、人事領域の知識や経験は確実に増えています。

実際に人事制度や採用施策などに関わる機会もあり、自分の世界が広がっている実感があります。

将来への不安がゼロになったわけではありません。
それでも、自分なりに調べ、考え、納得して踏み出した経験は、今の自分につながっています。

だからこそ、私は「踏み出してみること」をおすすめしたいですね。

編集後記

今回のケースは、内勤営業から未経験で人事領域へ挑戦し、RPOリクルーターとして新しいキャリアをスタートされた事例でした。

印象的だったのは、「人事をやりたい」という思いだけでなく、業務委託という働き方そのものについても、自ら調べ、理解し、納得したうえで意思決定されていた点です。

転職というと、企業選びや年収に目が向きがちですが、働き方そのものを見直すことで選択肢が広がることもあります。

また、未経験から人事を目指す場合、正社員採用だけが入口ではありません。

今回のように、まずは採用業務に携わりながら経験を積み、その先のキャリアにつなげていくという考え方もあるのだと思います。

「自分なりに納得して踏み出す」。

そんな意思決定の大切さを改めて考えさせられる転職体験でした。

― コーリング株式会社 佐々木陽一
人材ビジネス、HR Tech、Ed Tech、人事コンサルティング領域を中心に、転職支援や採用支援に携わる。人材紹介会社で約18年間コンサルタント・マネジメント業務に従事した後、事業会社で中途採用・タレントアクイジションを担当。現在は、人材紹介事業に加え、人材ビジネス向けコンサルティング・アドバイザリー、採用支援(RPO)を行う。

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