人材紹介会社・エージェント向け説明会の進め方──推薦につなげる運営のポイント

コーリング株式会社の佐々木陽一です。人材紹介を中心に、人材業界・HR業界における転職支援や採用支援に携わっています。
新しい求人が発生したタイミングや、採用活動の節目に、人材紹介会社・エージェント向けの説明会を開催する企業が増えています。
最近では、人材紹介会社出身のTAやリクルーターが進行を担当するケースもあり、エージェント側の関心を踏まえた内容になっていると感じることも少なくありません。
一方で、説明会を開催したものの、
・求人への理解が深まらない
・推薦数が増えない
・質問がほとんど出ない
ということもあります。
エージェント向け説明会は、単に会社や求人を説明する場ではありません。
人材紹介会社に採用背景や求人の魅力、推薦時の判断材料を理解してもらい、実際の候補者サーチと推薦につなげる場として設計することが重要です。
1.冒頭で説明会の目的を共有する
説明会の冒頭では、参加へのお礼だけでなく、開催目的まで明確に伝えることが大切です。
例えば、
・いつまでに、どの職種を、何名採用したいのか
・なぜ現時点で採用に至っていないのか
・今回の説明会で何を理解してほしいのか
を最初に共有します。
「本日は、人材紹介会社・エージェントの皆様にご参加いただき、ありがとうございます。」
と伝えるだけでも、採用活動のパートナーとして迎えられている印象が生まれます。
そのうえで、
今回は、採用が難航している背景や、候補者へお伝えいただきたい情報を共有するために開催しました。
と目的を示せば、参加者も何に注目して聞けばよいかを理解しやすくなります。
「皆様のお力をお借りしたい」と伝える場合も、採用目標や課題と結びつけることで、形式的な依頼ではなくなります。
2.エージェントが参加する目的を理解する
人材紹介会社のコンサルタントは、時間に余裕があるから説明会へ参加しているわけではありません。
説明会で得られる情報をもとに、
・成約につながる可能性がある企業か
・求職者へ提案しやすい求人か
・他の担当企業・求人より優先するべきか
を判断しています。
エージェントは複数の企業と求人を担当しています。
そのため、企業概要や採用人数を伝えるだけでなく、
・どのような候補者に合うのか
・求人の魅力はどこにあるのか
・候補者が迷いやすい点は何か
・選考で重視するポイントは何か
・他社求人との違いは何か
まで具体的に説明することが重要です。
説明会の目的は、情報を多く伝えることではありません。
エージェントが「誰に、どのように求人を紹介すればよいか」を判断できる状態をつくることです。
3.質疑応答に頼りすぎない
説明会では、
「せっかくの機会ですので、何でもご質問ください。」
と参加者へ呼びかけることがあります。
しかし、期待したほど質問が出ないことも少なくありません。
その理由の一つは、参加している人材紹介会社同士が、同じ求人を扱う競合でもあるからです。
有益な情報につながる質問ほど、他社も参加している場では聞きにくいことがあります。
そのため、説明会の内容を質疑応答に依存させるのではなく、事前に必要な情報を盛り込んでおくことが重要です。
質問時間は10分程度でも十分な場合があります。
また、社内から役員や配属部門の責任者が参加する場合には、
エージェントからの質問は、参加者同士の関係もあり、それほど多く出ない可能性があります。
と事前に共有しておくと、当日の空気を誤解されにくくなります。
4.事前質問や「よくある質問」を活用する
参加予定のエージェントから、あらかじめ質問を集めておく方法も有効です。
寄せられた質問を説明資料に反映し、
よくいただくご質問ですが、
と進行役が説明すれば、当日に挙手がなくても、参加者の関心に沿った情報を提供できます。
また、全体説明会では聞きにくい内容もあるため、
・説明会終了後に個別質問を受け付ける
・担当者へ直接連絡できる方法を案内する
・後日、個別の求人打ち合わせを設定する
といった選択肢を用意しておくと、理解をさらに深めやすくなります。
5.採用決定率などの数値は伝え方に注意する
採用実績や選考データは、エージェントにとって有益な情報です。
例えば、
・年間の中途採用人数
・人材紹介会社経由の採用人数
・書類選考や面接の傾向
は、求人の可能性を判断する材料になります。
ただし、数値は伝え方によって逆効果になることもあります。
例えば、
書類選考から採用決定に至る割合は1%です。より多くの候補者をご推薦ください。
と伝えると、エージェント側は、
決定可能性が低い求人であれば、別の企業や求人を優先した方がよいのではないか。
と考える可能性があります。
低い決定率を共有するのであれば、
・なぜその数字になっているのか
・どのような候補者であれば可能性が高いのか
・今後、企業側で何を改善するのか
まで併せて説明する必要があります。
単に推薦数を増やしてほしいと伝えるのではなく、採用決定の可能性を高めるための情報として数値を示すことが大切です。
6.説明会後に活用できる資料を残す
説明会で理解した内容を、エージェントが継続的に活用できる仕組みも必要です。
可能であれば、当日投影した資料を説明会後に共有します。
資料があれば、
・担当者が後から求人を振り返る
・社内の別のコンサルタントへ共有する
・候補者への求人説明に活用する
といった使い方ができます。
さらに、
この資料は、候補者との面談でも共有して構いません。
と明示できる内容にしておくと、エージェント側で情報を言い換える負担が減り、候補者にも正確な情報が伝わりやすくなります。
説明会を定期開催する場合は、次回の予定を早めに案内しておくことも有効です。
エージェントの予定を先に押さえられるだけでなく、継続的に情報を更新し、求人理解を蓄積してもらいやすくなります。
エージェント向け説明会は「説明」ではなく「推薦を促す設計」が重要
人材紹介会社・エージェント向け説明会で重要なのは、情報量の多さではありません。
・採用の目的と課題が分かる
・求人の魅力と難しさが分かる
・どの候補者を探せばよいか分かる
・候補者へ何を伝えればよいか分かる
・説明会後も情報を活用できる
この状態をつくることが、実際のサーチや推薦につながります。
人材紹介会社を単なる候補者の紹介元としてではなく、採用活動を進めるパートナーとして捉え、相手の立場や行動を踏まえて説明会を設計することが大切です。
コーリング株式会社 佐々木陽一
人材紹介を中心に、人材業界(人材紹介・人材派遣・RPO・求人広告・プロシェアリングなど)や、
HR業界(HR Tech・Ed Tech・人事/組織コンサルティング・教育/人材開発など)における転職支援・採用支援に携わる。
人材紹介会社で約19年間、コンサルタント・マネジメント業務に従事した後、事業会社で中途採用・タレントアクイジションを担当。
現在はコーリング株式会社を経営し、人材業界・HR業界のキャリアと採用を支える相談相手として活動している。
▶ ご相談・お問い合わせはこちらから(無料)
▶ 転職を検討されている方
→求職者向けお問い合わせフォーム
※人材ビジネス・HR業界への転職・キャリア形成を支援しています。
▶ 企業の採用ご担当者様
→法人向けお問い合わせフォーム
※人材ビジネス・HR業界の中途採用を、人材紹介を中心に採用支援しています。