転職体験記|ケース01|人材紹介 管理職として抱えていた葛藤

コーリング株式会社 代表取締役 佐々木です。今回は、ある方の転職活動について、実体験を伺いました。
なお、このシリーズでは、必ずしも当社が採用決定までご支援した方のみを取り上げているわけではありません。実際に転職を経験された方や、転職活動の途中にいらっしゃる方など、ご本人の了承を得たうえで、実体験を共有しています。
すぐに答えが出る話ではないかもしれませんが、 転職を考え続けている方にとって、ご自身の状況を整理するための一つの材料になれば幸いです。
プロフィール(匿名)
・転職者:Aさん
・転職当時:39歳
・転職前:人材紹介会社/管理職
・転職後:メーカー/人事(タレントアクイジション)
――転職を意識し始めたきっかけを教えてください。
大きく二つあります。
一つは、社内でこれ以上のキャリアが見込めなくなったと感じたこと。 もう一つは、会社の方針とのズレを強く意識するようになったことです。
10年以上在籍し、複数のチームで経験を積みました。新規立ち上げや不調な組織の立て直しなど、一定の結果も出してきたと思います。
その都度、役割や責任に応じた評価も受けてきました。
ただ、直近の組織で業績が好調だったにもかかわらず、 「いまのフェーズに合う適任者を外部から採用した。あなたには、以前の部署の立て直しをお願いしたい」 という趣旨の人事を受けました。
表向きは合理的な判断です。内密で採用を進めていた。職位も以前と同じ。
その瞬間、「これ以上のキャリアはもうない」と通告されたように感じました。
――違和感が決定的になった出来事はありましたか?
コロナの影響が大きかったですね。
私の担当組織の顧客は直撃を受け、多くが採用停止となりました。
縦割りの組織だったため、他部署の顧客を一緒に担当できないか調整もしましたが、状況は改善しませんでした。
やがて、自部署に限って人員削減の話が出てきました。
自分で採用してきたメンバーに、社外のキャリアも考えるように伝える。
一方で、他部署では採用が継続している。
会社の判断として理解はできます。ただ、現場にいる自分の感情は追いつきませんでした。
次年度の事業計画を考える段階で、自分自身が成長戦略を描けなくなっていることに気づき、退職を意識するようになりました。
――当時、転職活動はどのように進めていましたか?
景気後退も何度か経験しており、「数年で回復する」という見立てもありました。
ただ、自分の部署だけが調整対象になっている状況で、 引き続き、管理職として、このまま組織に残り続けることが正しいのか、力強い事業計画を作成する気持ちにはなりませんでした。
コンサルタントとして、顧客に向き合う道もあったかもしれません。
ただ、管理職であったわけですから、「Aさん、もっと行動量増やしてください。足りてませんよ。」など、かつてのメンバーたちが、私には言い辛いですよね(笑) 。残るのも申し訳ない、退職するのも申し訳ない。複雑な気持ちでした。
また、人材紹介業を続けるのか、別の業界に挑戦するのか。
どちらにも踏み切れず、情報は集めながらも、なかなか動けない期間が続きました。
それと、同業に相談することで、もし誰かの耳に入ってしまったら——
そんなことも考え、余計に慎重になっていました。
結果、転職先を決める前に退職しました。退職した後に、転職先を探そうと気持ちを切り替えました。
――最終的に、どのように意思決定をされたのでしょうか?
自分の気持ちに向き合いました。
役割や肩書きを意識していた気持ちは正直あります。それより、なぜ退職を決心したか?自分は、メンバーに対して正直な気持ち、メッセージで向き合いたい。自身の価値観に改めてふれました。
事業計画のために採用し、成果が出ている人にばかり期待をかけ、苦しんでいる人には「向いていないのかもしれない」と伝える。
そうしたマネジメントを、これ以上続けたいとは思えませんでした。
実は、人事・タレントアクイジションという職種は、自分にとって想定していない道でした。もっと若い人たちが選択できるキャリアだと思っていましたが、ご縁をいただきました。
併願先としては、人材ビジネスの他に、SaaSや、人事/組織コンサルティングなども考えていたのですが、もともと事業・採用は好きでしたから、人事・タレントアクイジションとして環境に身を置けることは大きな機会でした。
――いま振り返って、当時のご自身をどう見ていますか?
転職をせずに残っていたら、違ったいまがあるかもしれませんが、転職してよかったと思っています。
転職先では仕事を通じて、新しい人との縁に恵まれ、仕事として新しい発見を得ることはもちろん、新しい交流が生まれ、人生が豊かになっています。
もちろん、前職の人たちといまでも交流もあります。 肩の荷が下りた感じです。
――近しい境遇の方へ、何か伝えるとしたら?
人材紹介会社、まして管理職となりますと、転職活動もし辛いかもしれません。
動きたいけど、 動けないというジレンマもあるかもしれません。 誰にも相談できないと感じているなら、 まずは自分の違和感を言葉にしてみるだけでもいい。
それが、次の一歩につながることもあります。
編集後記
お話を伺いながら、人材紹介会社に勤務しているがゆえに、マネジメントとしての葛藤と、転職活動のジレンマを感じられていることが伝わってきました。 なにより、ご自身の価値観に改めて触れられ、それを大事にキャリア選択されたことが印象的でした。
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