キャリアアドバイザーに必要な「関係構築力」とは?──強みを具体化するための分解方法

コーリング株式会社の佐々木陽一です。人材紹介を中心に、人材業界・HR業界における転職支援や採用支援に携わっています。
キャリアアドバイザー(CA)に求められる力として、よく挙げられるのが「関係構築力」です。
ただ、関係構築力という言葉は幅が広く、
「人と良い関係を築けること」
「相手から信頼されること」
といった抽象的な説明だけでは、その人が具体的に何を得意としているのかまでは分かりません。
今回は、人材紹介会社のキャリアアドバイザーに求められる関係構築力について、実際の業務場面に分けながら整理します。
今回お伝えしたいこと
・キャリアアドバイザーに求められる関係構築力とは何か
・関係構築力が、共感力や傾聴力だけではない理由
・関係構築力を具体的なスキルに分解する方法
・自分の強みを転職やキャリア形成に活かす考え方
「関係構築力を活かしたい」という相談
以前、人材紹介業界から別の業界へキャリアチェンジした方と、お話しする機会がありました。
その方が会話の中で、
「もう一度、キャリアアドバイザーの仕事に戻ることも考えています」
と話してくれました。
理由を伺うと、自分の強みについて改めて考える機会があり、顧客との関係構築力を活かせる仕事をしたいと思ったそうです。
私も良い選択肢だと思いながら、一つ問いかけました。
「キャリアアドバイザーにおける関係構築力とは、具体的にどのような力でしょうか」
関係構築力は、共感力や傾聴力だけではない
最初に挙がったのは、次のような力でした。
・相手の話を丁寧に聴く力
・相手の気持ちに共感する力
・安心して話してもらえる関係をつくる力
もちろん、いずれもキャリアアドバイザーにとって大切な力です。
ただ、話を続けていくと、関係構築力には、さらに多くの要素が含まれていることが見えてきました。
例えば、
・候補者の経験や希望を正確に理解する力
・本人も整理できていない考えを、対話を通じて言語化する力
・求人企業や仕事内容を、候補者に分かりやすく伝える力
・転職活動に対する不安や迷いを整理する力
・選考状況や今後の進め方を、適切なタイミングで共有する力
・候補者の意向を尊重しながら、必要な助言を伝える力
なども、関係構築を支える重要な要素です。
関係構築力とは、一つの能力ではなく、複数のコミュニケーションスキルや業務遂行力が組み合わさったものだと考えられます。
キャリアアドバイザーの業務場面ごとに分解して考える
自分の関係構築力を明確にするには、抽象的な言葉のまま考えるのではなく、キャリアアドバイザーの業務場面ごとに振り返る方法があります。
初回面談
初回面談では、候補者が安心して経歴や今後の希望を話せる関係をつくる必要があります。
この場面では、
・緊張を和らげる力
・話を遮らずに聴く力
・適切な質問によって情報を引き出す力
・相手の考えや感情を受け止める力
などが求められます。
求人提案
求人を紹介する際には、単に求人票の情報を読み上げるだけでは、候補者の納得感にはつながりません。
・企業や募集背景を理解する力
・候補者の経験と求人との接点を見つける力
・仕事内容や期待される役割を、相手に合わせて説明する力
・求人の良い面だけでなく、注意点も含めて伝える力
こうした力も、信頼関係を築く上で重要です。
求人提案
求人を紹介する際には、単に求人票の情報を読み上げるだけでは、候補者の納得感にはつながりません。
・企業や募集背景を伝える力
・候補者の経験と求人との接点を見つける力
・仕事内容や期待される役割を、相手に合わせて説明する力
・求人の良い面だけでなく、注意点も含めて伝える力
こうした力も、信頼関係を築く上で重要です。
選考中のフォロー
選考が進むと、候補者には新たな疑問や不安が生まれます。
その際に、
・面接後の感想や懸念を丁寧に確認する力
・候補者と企業の認識の違いを整理する力
・次の選考に向けて必要な準備を支援する力
・状況に応じて適切なタイミングで連絡する力
が求められます。
意思決定の支援
内定後は、候補者が転職するかどうかを判断する重要な場面です。
ここでは、入社を促すことだけが関係構築ではありません。
・本人が大切にしたいことを改めて確認する力
・複数の選択肢を整理する力
・判断に必要な情報を確認する力
・結論を急がせず、本人の意思を尊重する力
も含まれます。
候補者にとって納得感のある意思決定を支えることが、その後の長期的な信頼にもつながります。
関係構築力を言語化すると、自分の強みが見えてくる
キャリアアドバイザーの方が転職活動を行い、面接で自身の強みを尋ねられたとします。
その際に、
「私の強みは、候補者との関係構築力です」
と答えるだけでは、具体的にどのような関わりができるのかまでは、面接官に十分伝わらないかもしれません。
例えば、
「候補者の話を丁寧に伺い、本人の中でもまだ明確になっていない希望や転職の判断軸を、対話を通じて整理することを得意としています」
「求人企業の情報を一方的に伝えるのではなく、候補者の経験や関心との接点を整理しながら説明することを大切にしています」
と伝えられれば、どのような業務場面で、どのように関係構築力を発揮してきたのかが分かりやすくなります。
同じ「関係構築力」でも、得意とする場面や、その力を支えているスキルは人によって異なります。
だからこそ、抽象的な言葉のまま終わらせず、実際の業務場面や行動まで分解して言語化することが大切です。
このように関係構築力を整理することは、次のような場面でも役立ちます。
・自分の強みや課題を振り返る
・転職理由や志望動機を整理する
・採用面接で経験を具体的に伝える
・入社後の育成テーマを明確にする
・キャリアアドバイザーとしての業務改善につなげる
抽象的な強みを、実際の行動や業務場面に置き換えることが重要です。
最後に
キャリアアドバイザーにとって、関係構築力は欠かせない力の一つです。
ただし、それは単に「人当たりが良い」「共感できる」「話を聴ける」ということだけではありません。
候補者を理解すること。
必要な情報を分かりやすく伝えること。
不安や迷いを整理すること。
状況に応じて適切にフォローすること。
そして、本人が納得できる意思決定を支えること。
こうした複数の力が組み合わさることで、キャリアアドバイザーとしての関係構築力が形づくられます。
自分は、どの場面で、どのような関わり方をしているのか。
そこまで具体的に振り返ることで、自分らしい強みや、これから伸ばしたい力が見えてくるのではないでしょうか。
コーリング株式会社 佐々木陽一
人材紹介を中心に、人材業界(人材紹介・人材派遣・RPO・求人広告・プロシェアリングなど)や、
HR業界(HR Tech・Ed Tech・人事/組織コンサルティング・教育/人材開発など)における転職支援・採用支援に携わる。
人材紹介会社で約19年間、コンサルタント・マネジメント業務に従事した後、事業会社で中途採用・タレントアクイジションを担当。
現在はコーリング株式会社を経営し、人材業界・HR業界のキャリアと採用を支える相談相手として活動している。
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