コラム

人材紹介は本当に「入社まで」の仕事?仕事の幅とキャリアを考える

コーリング株式会社の佐々木陽一です。人材紹介を中心に、人材業界・HR業界における転職支援や採用支援に携わっています。

人材紹介で働いている方とキャリアについてお話ししていると、

「人材紹介は採用・入社まで。その後に携われない」

という話を聞くことがあります。

入社後の育成や配置、評価、組織開発などにも関わりたい。だから、次は事業会社の人事や、別のHR領域に挑戦してみたい。

そんな話につながることもあります。

確かに、人材紹介のコンサルタントが、入社後の育成や評価、組織開発を直接担当するわけではありません。

そういう仕事がしたいのであれば、環境を変えるのも一つの選択です。

ただ、

「人材紹介の仕事って、本当にそこまでなのかな?」

とも思います。

この記事では、

・人材紹介の仕事は本当に「入社まで」なのか
・人材紹介から顧客の採用課題・組織課題へ関わる仕事の広がり
・人材紹介コンサルタント自身の動き方によって広げられる仕事
・本人の主体性だけではなく、会社の環境や営業方針が与える影響

について、人材紹介や採用支援に携わってきた経験も踏まえて考えてみます。

人材紹介の仕事は「候補者を紹介する」だけではない

人材紹介の基本的な仕事は、企業の採用ニーズを理解し、候補者を探し、紹介し、選考から入社までを支援することです。

ただ、実際に顧客と仕事をしていると、それだけでは終わらない場面もあります。

例えば、面接官へのレクチャー。

面接の進め方や、候補者への魅力づけについて相談されることもあります。

人材紹介をしていると、さまざまな会社の給与条件や採用情報に触れる機会もあります。

顧客から、

「同業他社では、どのくらいの給与で採用していますか?」

と聞かれることもあります。

こうした情報をもとに、採用条件や求人の設計について一緒に考えることも、人材紹介の仕事の中で起こります。

採用の話から、組織やマネジメントの課題が見えてくることもある

経営者や人事責任者、現場責任者、面接官などと話していると、採用そのものだけではなく、その背景にある課題が見えてくることがあります。

例えば、

「なぜ、このポジションを採用するのか」
「どんな人が、この会社では活躍するのか」
「なぜ、いま採用する必要があるのか」

といったことを確認していく。

すると、組織体制やマネジメント、事業の方向性、人材配置など、採用の背景にあるテーマが見えてくることがあります。

もちろん、人材紹介会社がすべての組織課題を解決するわけではありません。

ただ、候補者を探して、紹介して、面接を調整して、入社まで支援する。

人材紹介の仕事の幅は、それだけとも限らないと思っています。

人材・組織戦略から人材紹介につなげる会社もある

実際、私のお取引先にも、人材紹介・人材サーチを行いながら、顧客の人材・組織戦略やサクセッションといったテーマに踏み込んでいる会社があります。

まず顧客の事業や組織について考える。

そこから、今後どのような人材が必要になるのかを整理し、求人や人材サーチに落とし込んでいく。

一部のコンサルタントが、本人の興味関心から個人的に行っているわけではありません。

会社として、そういうサービスを提供しています。

こういう人材紹介の形もあります。

そう考えると、

人材紹介という仕事の範囲は、自分の動き方や所属する会社によって、かなり広がる可能性があります。

私はそう考えています。

「主体的に動けばいい」だけでは難しいこともある

一方で、

「主体性と言われても、うちの会社では難しいんだよな……」

ということもあるでしょう。

人材紹介会社によって、特徴も違えば、営業方針も違います。

日々追っているKPIが、候補者の紹介数や面接数などを中心に設計されていることもあります。

周囲を見ても、顧客の採用課題や組織課題まで踏み込んでいる社員がいない。

そういう仕事の仕方や成果が、社内で共有されていない。

そのような環境で、

「もっと顧客の課題に入り込もう」

と思ったとしても、

「では、具体的に何をすればいいのか?」

となるのも自然だと思います。

知らない仕事の仕方を、自分一人で見つけるのは簡単ではありません。

人材紹介のキャリアは、本人だけでなく環境にも左右される

本人の興味関心や主体性は、もちろん大切です。

ただ、それだけで仕事の幅が決まるわけでもありません。

会社として、顧客にどこまで関わっていくのか。

どんな仕事を評価しているのか。

どんな事例が社内で共有されているのか。

身近に、どんな仕事をしている社員がいるのか。

そうした環境によっても、日々経験できる仕事や、身につけられるスキルの幅は変わってくると思います。

だから、

「本人が主体的に動けばいい」

だけで片付けるのも、少し違うのではないでしょうか。

「人材紹介では入社後まで携われない」と感じたときに考えたいこと

「人材紹介では、入社後まで携われない」

確かに、そういう面はあります。

育成や評価、配置、組織開発そのものを仕事にしたいのであれば、事業会社の人事や人事コンサルティングなど、別のキャリアを選ぶことも一つの方法です。

一方で、今の仕事の中でも、顧客の採用課題にもう少し踏み込めないか。経営者や人事責任者との対話から、採用の背景にある課題まで理解できないか。

そう考えてみることで、人材紹介という仕事の見え方が変わることもあります。

「人材紹介の仕事は入社まで」と決める前に、自分が今いる環境では、どこまで仕事を広げることができるのか。

一度考えてみてもよいのではないでしょうか。

そのうえで、「もっと違う形で人や組織に関わりたい」と思うのであれば、それも次のキャリアを考える大切なきっかけになると思います。

人材紹介で働きながら、これからのキャリアや仕事の幅について考えている方にとって、一つの参考になれば嬉しく思います。

 

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